Since 1996

自分にとってこの風景は思い出なんだと気づいた

お題「思い出の一枚」

この写真を撮ったのは1996年くらいだ。もう20年前になる。

就職活動をして内定を最初にくれた会社がカメラメーカーだった。そしたら、サークルの先輩がそのメーカーのカメラ(一眼レフ)を譲ってくれた。

余り使うことのなかったカメラだが、入社して数年立ったあと、大学の同級生の結婚式に呼ばれて久しぶりに札幌に行くことになったので、そのカメラを持っていき、空いた時間に大学のキャンパスを散策して写真を撮ったのだ。

自慢するが、日本でこんなに絵になる風景の多いキャンパスを持つ大学は他にないんじゃないかと思う。週末は大学というよりも観光名所だし。

写っているのは中央ローンといって、大学の正門から入って進んだところにある芝生の広場。大学のキャンパスは南北に長くて、その中央をメインストリートである広い道路が縦断している。そこに至る前の場所。多くの観光客がここの横を素通りしてメインストリートに行き、そのままポプラ並木の方に行くのだが、僕はこのスペースが大好きだった。

ただ、自分はこの場所が大好きだったと気づいたのは、大学を卒業して上京し、社会人として暮らすようになってからだ。学生時代を思い出すときに、最初に思い出すのが自分が暮らしていた木造モルタル6畳一間トイレ共同風呂なしのアパートと、この中央ローンの緑の芝生だったので、自分はこの場所が、この風景が好きだったんだなと気づいたのだ。

だからこの思い出の一枚は大学時代に撮ったものではなく、結婚式に呼ばれてきたときに撮った。

きっと大学時代は毎日目にしている風景で、明日もきっと見るだろうからと写真など撮る気にもならなかった。

東京にきて、見ることができなくなって、自分にとってこの風景は思い出なんだと気づいた、そんな一枚がこの写真なのだ。

f:id:shinjif:20190224101759j:plain

北海道大学中央ローン 1996年ころ。