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2018年読書レビュー

晦日。今年の読書レビューです。

今年は48冊の本を読みました。ただし、上下巻もあるので、作品数は46でしょうか。実際、今日読み終えた1冊は上巻なので、まだ作品としては読了になりません。

今年の読書は豊作でした。いきなり1冊目の小説 地下鉄道 (早川書房)  が今年読んだ小説(フィクション)としては最高。これはいろいろな人に伝えたい一冊でした。

 

地下鉄道 (早川書房)

地下鉄道 (早川書房)

 

もう一冊短編で上げるとしたら 紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1) 

 

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

 

 ノンフィクションでは、ナチス・ドイツの原爆開発を妨害するために多大な犠牲を払ったノルウェーの重水工場爆破作戦を描いた ヒトラーの原爆開発を阻止せよ!――“冬の要塞"ヴェモルク重水工場破壊工作 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII-1)

 。これはかつて読んだリチャード・ローズの「原子爆弾の誕生」の中でほんの数行しか触れていない作戦を克明に描き出した作品。

 

ヒトラーの原爆開発を阻止せよ!――“冬の要塞
 

 この本を出した亜紀書房さんからもう一冊。こちらはアインシュタイン相対性理論が発表される前、ニュートン力学で森羅万象を読み解ことうして、水星の軌道の内側に未知の惑星「ヴァルカン」があるはずだと信じた天才天文学者:ルヴェリエと、ヴァルカンを見つけようとした科学界の狂騒を描いた 幻の惑星ヴァルカン アインシュタインはいかにして惑星を破壊したのか 。この本に関しては読書会でこの本をテーマに科学者と神について話し合う会の司会もしたのでなかなか印象深い本になりました。

 

幻の惑星ヴァルカン アインシュタインはいかにして惑星を破壊したのか

幻の惑星ヴァルカン アインシュタインはいかにして惑星を破壊したのか

 

 そして、最後にもう一つ。

 

天人 深代惇郎と新聞の時代 (講談社文庫)

天人 深代惇郎と新聞の時代 (講談社文庫)

 

 小学生の頃、中学受験対策(国語)として「深代惇郎天声人語」を読みました。小学生で、決して地道な受験生でもなかった自分は適当に読み飛ばしていましたが、それでもサリドマイド薬害訴訟について書かれたコラムなどはとても印象に残っていました。

少年の心にも深い印象を残し、ましてやそのことについてなんとなく考えてしまう(決してその考えへの賛否を求めるのではなく、その判断を一旦おいて、考えさせる)文章を書く力、これが本当の言葉の力なんだろうと感じた2018年でした。