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声をかけるときには気をつけよう

高校生の頃、よく行ったお好み焼き屋さんがあった。お好み焼き屋というより、鉄板焼きレストランみたいな感じのところ。コーヒーもついてくる。

マスターが気のいい人で、長居しても文句を言われたことはなかった。

一浪したあと、念願の北大はまた不合格だったものの、地元の私大に合格した。別にその私大に行きたかったわけではないが、ここで終わりにするしかないかな、と思っていた。

そういう報告がてら、そのお店に行ったら、マスターの第一声は「君にあの大学は似合わないんじゃないかな」という一言だった。

当時の僕には意外だったが、今から考えてみれば、全然嬉しそうな顔をしていない僕を見たら、誰でもそう言ったかもしれない。しかし、結局自分はそのマスターの一言で翻意し、二浪することになり、翌年はこれまた北大以外は見事に不合格になって北大行きが決まった。

親戚や会う人々からお祝いの言葉をもらい、最初は喜んでいたが、ある時からある言葉が気になりだした。「北海道行ったらスキーし放題やな」、「スキー行くから案内して」等々の言葉。天の邪鬼だった自分は思った。「スキーしに行くために二浪したんではない。」結果として、札幌の地を踏む頃には「絶対にスキーはしない」という決心が出来上がっていた。

言葉は人を動かす。

人に声をかけるときは気をつけよう。相手の人生を大きく変えるかもしれないから。