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2021年読書レビュー

晦日なので今年2021年の読書の総括です。

2021年に読み終わった本は77冊です https://booklog.jp/users/shinjif/stats?year=2021

そのうち「窯変 源氏物語」(全14巻)、「風と共に去りぬ」(全5巻)があるので作品数としては60作品ということになります。

その中の小説のベストは

ミステリーなんですが、謎解きというよりもこの舞台となる湿地地帯とそこに暮らす動植物の描写が素晴らしい。

一方で男女差別、黒人差別などのアメリカの闇の部分も描かれる。

しかも作者であるディーリア・オーウェンズは既に老齢で本業は生物学者、これまでは学者としてアフリカに滞在した時の回顧録などは書いたが、小説はこれが処女作だったというから驚き。


そして

朝倉かすみさんが描く中年の切ない恋愛物語。白馬もお城もない、病と低所得の暮らしが舞台の恋愛話。

同じ朝倉かすみさんの

はガラリと変わって少年西村朝日のどこかほのぼのとした連作短編も良かった。

ジェーン・スーさんの半自伝的とも思われる父と娘のやりとりを描いた物語も、一部は自分に関わるところもあってよかった。


さて、ノンフィクションでは

ヒロシマの原爆被害の実態を初めて世界に明らかにしたジョン・ハーシーの “HIROSHIMA” 。ジョン・ハーシーとそれを載せた雑誌「ニューヨーカー」はなぜ被爆地広島を取材しようと考えたのか?完全に報道が規制されていた広島にあって、なぜこの記事がアメリカの雑誌に掲載できたのか?その裏側を丹念に取材し、明らかにしている。

ジョン・ハーシーの「ヒロシマ」と共に読んでもらいたい。

そしてもう一冊

吃音、すなわち「どもり」。高校生の頃に吃音を苦にして飛び降り自殺をした男性。彼は結局一命を取り留め、死ぬほど苦しんだ吃音を抱えたままで生き続けなければならなくなった。

彼が吃音を克服しようとする姿と、日本において吃音をどう捉えてきたかなどの歴史も追いかける。

はっきりとした原因や改善させる方法も確立していない中で、吃音を抱えた人たちがいかに苦しんでいるかが語られる。

そして、12月になってから読んだ

巷でいわれる「おふくろの味」というものが意外と新しいものであり、それは戦後の日本の発展、地方と都市の文化の違いに大きく関係するものだということがわかる。


半年かけて読んだ「風と共に去りぬ」も一年かけて読んだ「源氏物語」もまあ面白かったんですけど、それはコロナのこともあって読書時間も増えたのでトライしました。まぁ好きな人が読んでくれればいいかなと。