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アポロとソユーズ―米ソ宇宙飛行士が明かした開発レースの真実:デイヴィッド スコット,アレクセイ レオーノフ 著 鈴木 律子,奥沢 駿 訳 ソニーマガジンズ

アポロとソユーズ―米ソ宇宙飛行士が明かした開発レースの真実
アポロとソユーズ―米ソ宇宙飛行士が明かした開発レースの真実
ソ連のスプートニクの衝撃で幕を開けた米ソの宇宙開発競争。それは、セルゲイ・パヴロヴィチ・コロリョフというソ連の軍事および探査用のロケット開発を一手に引き受けていた一人の巨人と、人望も厚かったユーリ・ガガーリンという世界最初の宇宙飛行士を擁するソ連と、組織力と資金力に勝る米国のNASAの戦いであったと感じる。その証拠に、ソビエトコロリョフを病気で、ガガーリンを事故で亡くしてしまうと一気に開発スピードとロケットの信頼性を失ってしまう。同様にNASAは月面有人探査という目標を達成し、国民の興味と後援を失うと一気に資金不足に陥り、アポロ計画の打ち切りという結果になってしまった。民主主義を標榜する米国が資金と組織に頼り、共産主義、社会主義であるソ連が一握りの個人の卓越した能力が宇宙開発を成功に導いていたというのは何とも皮肉な気がする。
これは冷戦時代の宇宙競争幕開けから、アポローソユーズのドッキングという共同宇宙開発計画に至るまでを、アポロ15号船長であったデイヴィッド・スコットと、世界初の宇宙遊泳を成し遂げたソ連の宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフが宇宙飛行士という、当事者の立場から描いている。