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困ります、ファインマンさん (岩波現代文庫):R.P. ファインマン 著 大貫 昌子 訳 岩波書店

困ります、ファインマンさん (岩波現代文庫)
困ります、ファインマンさん (岩波現代文庫)
理論物理学者 リチャード・P・ファインマンの評伝と言うか、逸話集と言った方が正しいかもしれない、「ご冗談でしょう、ファインマンさん」の続編。特にこれが特徴的なのは、後に彼が死に至った癌との闘病生活中でありながら、NASAスペースシャトルチャレンジャー号の爆発事故調査委員会に選任され、そこでも彼らしいやり方でその事故の原因調査究明をおこなった経緯が語られている後半部分だろう。
一方でやはり記憶に残るのは、彼がロスアラモスで原爆開発に従事している最中に死別した妻・アーリンとの思い出を語る部分。彼女とであった頃のファインマンの内気な行動や、彼女と死別した直後、彼女の死の実感が湧かずに、すぐに仕事に没頭したにもかかわらず、数ヶ月後、店のショーウィンドウに妻が好みそうな服が飾られていたのを見て、突如として最愛の妻を失った悲しみがこみ上げて来たと語るところ。
今年はファインマンに関わる本を更に読もうと考えている。