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自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝 レスリー・デンディ、メル・ボーリング 著 梶山 あゆみ訳 紀伊國屋書店


危険なことは避けなければならないが、避けていてはいつまでたっても核心に迫ることができないという事がある。例えば新薬の研究など、モルモットなどを使用した動物実験を行っていても、最後には人間で試さないと、本当に大丈夫かどうかはわからない。しかし、いつも必ず実験に協力してくれる被験者がいるとは限らない。ましてや、その実験が安全なのかどうか分からない、ひょっとしたら大怪我や、命を失うことになるかもしれないとしたら・・・。
というわけで、他人に頼むことができず、もしくは強い責任力のために、自分自身を被験者として実験を行った医師や科学者たちの10のエピソードを集めたのが本書。
読んでから知ったのだが、原書はアメリカで小中学生向けとして出版されたものらしい。道理で挿絵の雰囲気がちょっと子どもっぽい。エピソード一つ一つは面白いのだが、今ひとつ当事者の心の内面への踏み込みが浅くて、「ふーん」で終わってしまう。