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原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈上/下〉岩波文庫 長田新 編

原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈上〉
原爆の子―広島の少年少女のうったえ〈下〉

1945年8月6日午前8時15分 ー この瞬間を境に広島にいた、もしくは広島に親や兄弟を残して疎開していた子供たちの運命は大きく変わることになった。
それは単に瀕死の重傷を負った苦しみや、親兄弟を亡くした悲しみを味わったというだけではない。
倒壊した家の下で助けを求める肉親の声を振り切って、迫り来る炎から逃れなければならなかった悔恨、火傷でゴム鞠のように膨れあがった友人の顔に自分の姿を重ね合わせた時の驚愕、ごっそりと抜け始めた自分の髪を見て、同じ症状が出て数日後に逝った親兄弟を思い出して自らの運命に怯えた恐怖、亡くなった肉親を川原で焼くときの匂い、原爆症に対する理解が無く、周囲からいわれの無い仕打ちを受けたときの憤り、・・・
そういうものが幾重にも折り重なって、一人一人の「原爆の子」がある。