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水の迷宮 石持浅海 光文社

水の迷宮
水の迷宮 (光文社文庫)
東京にある小規模な水族館が舞台。存続が危ぶまれた水族館が奇跡の復活を遂げて数年後、水族館に水槽を攻撃する脅迫メールが届く。水族館の職員は事件解決に奔走するが、その最中に職員の一人が死体で発見されて・・・、という展開。
一時期各地に大型水槽や、水中トンネル、希少生物などを看板にした水族館が多数オープンした。そういう水族館の裏側なども見せながら展開する話や、脅迫と殺人の動機を職員達がそれぞれに推理していく進め方はスムースで読みやすい。
ただ、巻末の解説でも語られているが、この「甘い」ラストをどう捉えるかは意見の分かれるところだろう。僕は正直言ってちょっと「えっ」と思った。水族館の裏側なども見せながらの「リアリティ」さに対して、最後は一気に「青春ミステリィ」的な結末で違和感を感じるところがある。