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眼の誕生ーカンブリア紀大進化の謎を解く アンドリュー・パーカー 渡辺 政隆/今西 康子 訳  草思社

眼の誕生?カンブリア紀大進化の謎を解く
眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
「カンブリア大爆発」といえば、進化の歴史の中で最大の出来事であり、謎だった。言い換えると、カンブリア大爆発が起きたあとの影響について書かれた本は五万とあったが、なぜカンブリア大爆発が起きたのか?という理由については、各説あるものの、本当の「何故」について突き詰めて書かれたものは無かった。
著者のアンドリュー・パーカーは生物にとっての「色彩」、色を生み出す「光」、光を映像として捉える能力を持つ器官「眼」の起源について、丁寧に説き起こす。そして、「光」と光を映像化する器官「眼」の誕生が生物にとって如何に大きなイベントであったかを明らかにする。それこそが、「光」のもたらす淘汰圧こそがカンブリア紀の大爆発につながったというパーカー氏の「光スイッチ説」の論拠であるからだ。久しぶりにワクワクするサイエンス・ブックだった。