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四畳半神話大系 森見登美彦 角川文庫

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

大学三年生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。

という私が、大学1年生だった時に、“もし”映画サークル「みそぎ」に入っていなかったら、弟子求むという妙なビラに惹かれていなかったら、ソフトボールサークル「ほんわか」に入っていなかったら、秘密機関<福猫飯店>に加担していなかったらどうなっていたか?
しかし、それでも結局、謎の相棒・小津、謎の師匠・樋口、好敵手・城ヶ崎、乙女・明石さん、・・・という面々と不毛な毎日を過ごしていただろうか?
本書は四話構成だが、各話がこの「もし」に基づいたパラレルワールドであり、第四話(最終話)は私自身がそのパラレルワールドで遭難しかけるという、荒唐無稽さではここ最近読んだ本の中で破格。