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感染地図―歴史を変えた未知の病原体:スティーヴン・ジョンソン 著 矢野真千子 訳 河出書房新社

感染地図―歴史を変えた未知の病原体
感染地図―歴史を変えた未知の病原体
19世紀半ばのイギリス。まだコレラが微生物によるものであるという概念が無く、不潔な下層民街の汚れた空気が病原であるという認識が一般的であった頃、ロンドンの町の一角でコレラへの感染が始まった。次々と新たな発症者が出ては死んでいく中、一人の医師が不潔な住居の住民が必ずしも発症するわけではないということに気がつき、発症者の分布地図を作成し、その原因を探り始める・・・。
史実に基づくコレラ感染の原因を突き止めた一医師の物語なのだが、この著者はこの一医師が作成した感染者の地図から、「地図」という今最も注目されている情報の重要性に言及している。

私たちはこうしたジオタグを使って新しい都市を探索することになるだろう。…
キーワードやフレーズを頼りにウェブページを探すかわりに、私たちが立っているまちかどの緯度と経度をたよりに情報を探すようになる。

これはGoogle Mapsなどが始め、今や「ジオタグ」として注目されているものに他ならない。著者のその先見性に驚かされた。