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ケプラー疑惑―ティコ・ブラーエの死の謎と盗まれた観測記録 ジョシュア ギルダー /アン‐リー ギルダー著 山越 幸江 訳 地人書館


かのニュートンが自分が数々の発見の成果をさして「自分が遠くを見通せたのは自分が巨人の肩に乗っていたからにすぎない」と言わしめ、その巨人の一人に確実に含まれているのはケプラーの法則を発見したヨハネス・ケプラーである。ヨハネス・ケプラーは占星術師でもあったが、彼が天体の運行に関する研究を完全なものにするためには、天体の運行に関する正確な観測データが必要だった。しかし、貧しい家に生まれ、目も悪かったケプラーにはそのような観測は無理だったが、彼とは境遇も人望も全く大人るティコ・ブラーエという貴族は、40年にわたって精密な天体の運行の観測データを持っていた。そのデータが欲しくてティコと交流を結び、住居まで提供してもらっていたケプラー。そして、ある時、ティコが原因不明の体調不良から突然死すると、ケプラーは遺族からその観測データを奪ってケプラーの法則を発見するに至ったのである。
近年の研究によるとティコの遺髪からは大量の水銀が発見され、毒殺である可能性が高まってきた・・・。