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2012年読書のまとめ

さて、大晦日。12年の読書振り返りです。
今年は39冊、38作品を読みました。別に順位を付けるつもりはないのですが、印象に残った本を挙げるとまず一つ目は「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 」でしょう。
911をテーマにした文学として映画化もされました。賛否両論あるようですが、僕はこの作品が単に911で愛する父を失った少年が再生する物語以上のものとして評価しています。映画はちょっと違う方向に進んでいるけど、うまく小説の世界観を表現していたとも思います。
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

同じく911関連ですがデイヴィド・ハルバースタムの「ファイアハウス」も外せません。911の発生直後に現場に急行し、救助活動を開始したものの、ビルの倒壊とともに隊員のほとんどが命を落としたNYのアムステルダム・アベニュー66丁目にある第40ポンプ車隊と第35はしご車隊の消防士達。ジャーナリストのハルバースタムは個々の隊員のプロフィールを明らかにしながら、様々な記録から隊員たちの行動を追いかけます。ハルバースタムの丁寧な取材は全く会ったことのない隊員たち読者の前に実体として立ち上がらせ、ビルの倒壊によって彼らを失った喪失感を肉親と共に読者にも共有させます。
これは今年再読したものですが、もう一度読んで改めて深く心に響きました。
ファイアハウス
ファイアハウス

911 関係では写真集ですが、「NY崩壊―2001‐09‐11世界が変わった日 写真家がたどる直後7時間の記録」も記憶に残りました。これは911発生当時NYでカメラマンとして活動していた上重 泰秀さん(息子たちの通う藤嶺学園藤沢高等学校の先輩でもあります)が、911発生直後に現場近くまで行き、周囲の混乱と惨状を写したものです。実は911関連の写真集というものは見たことがなかったのですが、やはり想像を超えるものでした。吹き上がる黒煙や、崩れ落ちたビルの残骸、瓦礫の山が写真のフレームに捉えきれず、いつもフレームの外に溢れ出ているのが印象的でした。
NY崩壊―2001‐09‐11世界が変わった日 写真家がたどる直後7時間の記録
NY崩壊―2001‐09‐11世界が変わった日 写真家Jがたどる直後7時間の記録

911を離れると、ハヤカワ・ポケット・ミステリの「ねじれた文字、ねじれた路」が良かった。詳しく書くとネタバレになってしまうのですが、いやぁポケミスは面白い!
ねじれた文字、ねじれた路
ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ハヤカワ文庫は沢山読んできましたが、今までほとんど読んだことがなかったハヤカワポケットミステリにハマり始める1冊でした。

さて、2013年はどうなるのか?
個人的には本格的に電子書籍に手を出そうと思っています。準備としてKindle Papwerwhite も購入しました。紙の本は大好きですし、まだまだ電子化されている本に限りがあるし、紙の本を裁断して自炊する気は無いので、紙と電子版の併用に成るかと思いますが、ハードカバーでもすっきりカバンに入って、通勤が楽になってくれれば…。
来年も楽しく読書ができますように。