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春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)  米澤穂信著 東京創元社


恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生の小鳩くんと小山内さんの男女二人が、目立たぬ小市民たろうとする意思に相反して、身の回りの小さな謎解きにその才能を吐露してしまう短編青春推理。青春推理の王道は「人が死なないこと」だと思いますが、これはその王道を守っています。ただ、ちょっとパンチに欠けるかなぁ。実は有名な宝島社の「このミステリーがすごい」の2010年版を立ち読みしていたら、ベストテンにこの作品の続編(第三作)である「秋季限定栗きんとん事件」というのが選ばれていて、全然知らない作家だったので、だったらシリーズ第一作から読んでみるべ、と買ったのでした。まずまずの出来だったので、買ってよかったとは思いますが。
創元推理文庫は久し振りに買いました。中学生の頃、海外ミステリーを読むようになって、エラリー・クイーンの国名シリーズや、ヴァン・ダインのファイロ・ヴァンスもの、等々を読むために創元推理文庫はお世話になりました。今は変わってしまいましたが、表紙絵のデザインが独特で好きでした。