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GW もう一つの過ごし方

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」

棚を埋める積読本を少しでも減らそうと、旅行の合間を縫って本も読んでました。

ゾルゲ事件・ヴケリッチの妻・淑子ー愛は国境を越えて」

大戦中に発覚したゾルゲ事件ゾルゲ機関の協力者として逮捕され、網走刑務所で獄死したブランコ・ド・ヴケリッチ の妻であった故 山崎淑子さんへのインタビューなどをもとに作成されたノンフィクション。

ヴケリッチ自身はコミュニストであり、当時のソ連の指示で来日し、日本とドイツの政治社会状況分析をゾルゲを介してソ連に送っていた。

山崎淑子はヴケリッチがコミュニストであることは知っていたものの、活動の内容は知らされていなかった。ただコミュニストであること自体が危険思想として逮捕される理由になった時代だった。

逮捕されてからヴケリッチが獄中から彼女に書いた手紙は150通以上。それは全て公開されているが、スパイと協力者ではなく、夫婦の愛情を示す書簡集だ。

昔、読んだものを再読したくて図書館から借りてきた。(結局、それでは積読本は減らない)

 

ゾルゲ事件・ヴケリッチの妻・淑子―愛は国境を越えて

ゾルゲ事件・ヴケリッチの妻・淑子―愛は国境を越えて

その次に読んだのが 「給食の歴史」。

「給食」というものが生まれた背景と、現代まで続いてきた中での変遷。

日本でも戦前から給食はあった。農村地帯などで、貧困のため弁当を持たせてもらえない家庭の児童を救うためだ。

それが敗戦後には全国規模で展開されることになる。そこには日本の食習慣を米食からパン食にシフトさせる事で、自国で余っている麦の売り先を確保しようとするアメリカの国家戦略も見え隠れする。

またそもそも給食が導入される最初から、弁当は内容に家庭の事情による差が出て、児童自身が謂れのない恥ずかしさを感じてしまうのに比べて、給食は貧困家庭の児童が家庭事情の恥ずかしさから解放される事を目指しており、そのためにも無償支給を目指していた(無償支給は社会主義につながるというアメリカの方針に反対していた)という。

そういうところから始まって、給食制度の普及、各学校で給食を調理する自校式と、別に設けられた給食センターで何校分もの給食を調理し配送するセンター方式などの変遷、米食の導入、果ては給食の献立を考え、調理を行う栄養士と教職員の対立の話まで、給食の歴史は様々な紆余曲折がある。

今また経済的な理由などにより満足な食事が取れていない子どもの問題がクローズアップされてきている。給食を巡る問題は、根っこのところでは変わっていないという気がする。

 

給食の歴史 (岩波新書)

給食の歴史 (岩波新書)

GWもあと二日。あと何冊読めるかな。