Since 1996

2017年読書レビュー

ここのブログも年に1回読書レビューを書くだけになってきてしまいました。

2017年は24作品(29冊)の本を読みました。数からすると、少し少なめでしたね。ちょっとスランプがあって読み進めない時期がありましたから、このくらいになってしまうのは仕方ないですね。

今年を振り返ってベストの作品は・・・今年は突き抜けてよかったと言う作品には出会えなかったので、選びにくいですが、一つ取り上げるとすれば、マンガ界の伝説・故手塚治虫さんのお嬢さん手塚るみ子さんが書かれたエッセイ「定本 オサムシに伝えて」でしょう。

booklog.jp

手塚治虫の娘としての幼少期の親子関係から始まって、最後は父の最期を看取るところまでを書き綴っています。普段、エッセイというのはあまり読まないのですが、この本は手塚るみ子さんが父親をどれだけ愛していたかという事が伝わってきます。それが、父が生きている時にこうしておいてあげればよかったという後悔とも混じりながら語られますが、決して親不孝なのではなく、親を愛していればいるほど、親の死を前にして、満足なんて得られないんじゃないでしょうか。

そして、今年は再読した本も何冊かありました。特に「原子爆弾の誕生」。かつてハードカバーの本書を横浜中央図書館で借り、夢中で読みました。その後、今回の「普及版」というペーパーバックスタイルの版が出て、買ったものの、10センチくらいの厚さの本が上下巻2冊ですから、中々読み直すのも大変。手をつけたものの読み切るのに1ヶ月以上掛かったと思います。それでも、久しぶりに読み返して、改めて気づいたのは、この本の半分は原子爆弾の開発そのものの一つ前、原子とは何か?という物理学の発見と発達の歴史を描いていたという点です。多分、これほど総合的に原子爆弾開発の歴史を描ききった作品は他にないでしょうし、この本を超える本も出ていないでしょう。

booklog.jp

booklog.jp

その他、ちょっと珍しいところでは「偶然短歌」。

5・7・5・7・7のあの短歌ですが、ウィキペディアからこの5・7・5・7・7になる部分をプログラムで自動的に抽出してみると、なぜか笑える歌や、どこか想像力を掻き立てる歌が出て来る。まさに偶然が生み出した短歌。「偶然」が生む芸術に唸らせられます。

booklog.jp

さて、2018年まで残すところ4時間余り、また来年もたくさん楽しい本を読みたいものです。

booklog.jp