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DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物 ボブ・グリーン

DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語

DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語


一流のコラムニストであるボブ・グリーンが、これまで頑にマスコミの取材を拒んできた人物、ヒロシマに原爆投下を行ったB29爆撃機:エノラ・ゲイの機長、ポール・ティベッツへの取材に成功する。彼はティベッツへの取材を通し、ティベッツと同じ様に第二次世界大戦を戦った兵士であった自分の父の姿を思い起こし、そこに第二次大戦時代の兵士に共通する「姿勢」の様な者を発見する。
ティベッツ氏に関しては、被爆者や原爆投下に対する謝罪の気持ちがない等々言われており、日本では必ずしも好意的な評価がされていないが、彼が必ずしも冷酷な人間であるという事ではないこと、ある意味で彼こそが「戦争」というもの、そこで行動する「兵士」というものを一番理解しており、それが短い文章や、簡単な言葉で表せる様なものではない複雑な者である事を知っているからであると感じた。彼の人となりを知る上で、彼が寡黙である理由を知る上で非常に興味深い一冊であると思う。