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ビッグバンの父の真実

日本では実感できないが、米国では今でも科学と宗教の対立、もしくは融合させようとする活動が続いている。宇宙の始まりを説明するビッグバン宇宙論の基礎を気づいたのはルメートルという数学者・物理学者であり、彼は同時にカトリックの司祭でもあった。彼はアインシュタイン相対性理論を元に膨張する宇宙の理論を築き上げた(「膨張する宇宙」という考えはアインシュタインさえも最初受け入れられず、その膨張を止めるために有名なΛ(宇宙定数)を導入した)。しかし、彼はその「司祭」という立場故に、ビッグバン理論と天地創造という聖書の記述に関する類似性についての意見を求められたり、彼の理論に微妙なフィルターをかけて見る人々を多く生み、必ずしも彼とビッグバン理論が正当に評価されないという結果を生んで来た。科学と宗教は対立する概念でも、融和する概念でもなく、いわば同じ現実を異なる座標軸から見ることであり、それは矛盾するものでもなく、相補するものでもない。
本書はルメートルが如何に司祭という立場を生きながら、一流の宇宙物理学者として生き抜いたかという記録である。
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