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ねじの回転―FEBRUARY MOMENT:恩田 陸 著 集英社

ねじの回転―FEBRUARY MOMENT
ねじの回転 FEBRUARY MOMENT
226事件を舞台にしたタイムトラベル系SF。
時間遡航技術を手に入れた人類は悲惨な歴史の回避を行う為に、歴史のターニングポイントとなった事件の訂正を行い始める。そのターニングポイントの一つとして226事件が選ばれる。
226事件の主犯である青年将校安藤大尉、栗原少尉等は、まるでテレビドラマや映画の撮影のように226事件を再び演じ始める。しかし、嘗て一度終わった226事件の結末は必ずしも彼らの望むような結末ではなかった。再びそんな屈辱を経験するのか。結末を変えることはできないのか・・・。
歴史的事件の結末を変えると歴史はどうなるのか?というオーソドックスな話だが、226事件の悲憤を背負った青年将校に歴史を書き換える役を担わせたのがポイントなのだろう。彼らがもう一度226事件を実行するならどうしただろうという部分に重きを置いていたと思うが、おそらくその展開を突き詰めきれなかったのだろう。後半は息切れしたのか、普通のタイムマシン系の話になってしまっている。石原完爾を登場させているが、その扱いも中途半端だし。