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背筋の凍るドラマ

お題「もう一度見たいドラマ」

今9月頃に録画したアメリカのHBOが制作したミニシリーズ「チェルノブイリ」(全5話)を見始めた。

1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電事故の発生から、その危機的状況を脱するまでを描いている。

元になったのは先頭に立って危機の回避策を指導したヴァレリー・レガソフ博士が密かに残した事故原因を告発する録音テープなど。

当時の世界はアメリカはレーガンソ連ゴルバチョフが指導者で東西冷戦の最中。

保身のためと、東西対立の力関係の中、事故の深刻さを隠し、隠蔽しようとする政府に対して、放射能汚染された街から住民を避難させること、安全と思われた原子炉の欠陥、事故原因を探ろうとした政治家と科学者の戦いを描いている。

当時、自分は大学生で札幌にいた。ソ連から近いこともあり、放射能を含んだ雨が降るという噂が流れたりもした。

しかし、当時の東西冷戦世界では事故の状況についてはほとんど情報がながれてこなかった。

それがこのドラマでは克明に描かれている。

次々と放射線障害の症状を呈して倒れていく人々。

爆発炎上した発電所の消化に多くの消防士が駆けつける。原子炉から飛んできたグラファイトの断片を拾った消防士の手は放射線焼けしてただれてしまう。

爆発した炉心を封じ込めるために5000トンのホウ素と砂の投下活動を始めたヘリコプターも近づきすぎたために墜落する。

メルトダウンを回避するため、被爆死する事を覚悟して炉心近くに侵入し、作業をする人々。

何も知らされず、ただ発電所の火事を見物していて死の灰を浴びてしまった市井の人々。

被曝した人たちは細胞組織、骨髄が破壊され、免疫不全となって全身が水泡で覆われて、身体が崩れ落ちて死んでいく。

まだ第3話までしか見ていないが、これが自分が生きている時代に起きた惨事である事、そしてチェルノブイリと同じ原子力事故の深刻度レベル7である3.11の福島第一原子力発電所事故のことを思うと、見ていて背筋が寒くなる。

たぶん5話まで見終わっても、もう一度見返したくなるドラマだと思う。