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職業講演会&赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫) 庄司薫 著 中央公論社

一週間ほど前に、長男が通っている学校で「職業講演会」という催しがあり、そこに「講演者」の一人として呼ばれた。自分の息子がいる中学2年生が対象で、2年生の保護者の中から4名が選ばれて、自分の職業についてパネルディスカッション形式で語るというものだ。もちろん、仕事の話だけではなく、自分の将来の職業を夢見ていた中学生の頃の自分についても語る。
息子を目の前にしてそう言うことを語るのはちょっと恥ずかしかったが、たぶんこういう場でもなければ語ることもなかっただろう。
一週間ほど前から講演会でどういう事を話そうかと考えていたのだが・・・。
やっぱり自分の中学時代というか、ちょっとかっこいい言い方をするなら「青春の原点」を語るとするならばこの本だろうと思って、一冊の本を持って行くことにした。
赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)
赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)
この本は僕が中学位の時に読んだ本で、その時に買ったもの(つまり、30年くらい前に買った本)を僕はまだ本棚の中に持っている。僕が本(小説や物語というもの)を自分が生涯こだわっていきたいものとして捉えるようになったきっかけを作ったものだ。この本を一読しあと、この本は僕にとっての原点になり、僕はこの本をずっと自分のそばに置いて高校時代、浪人時代を経て、一緒に北海道に行って大学時代を過ごし、横浜に移って、結婚後もそのまま持っていた。その中で色んな節目の時に読み直したり、思い出したりした本だ。僕にとってここまで愛着があり、同時に自分の生き方にとって影響を与えたものは、これともう一冊しかないが、この本がなかったら僕はここまで本に愛着を抱かなかったろうから、もう一冊の本との出会いもなかっただろう。
僕は職業講演会を前にして、もう一度これを読み直すことになった。
たぶん、職業講演会ではそう言うことをうまく語ることはできないだろうな、と思っていたが、やっぱりそうだった。