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Google Developer Day 2007に行って来た

GDD7JP(Google Developer Day 2007 Tokyo)に行って来た。一応、技術者だし。96年頃、288(ニィパッパ)のモデムがまだそれほど普及していなくて、96(クンロク)か144(イッチョンチョン)のモデムがやっとという頃からインターネット系のサービス開発を日本でやっていたのだから、それはちょっと、Googleのイベントがあるとしたら行っても良いでしょう。(自分で書いてて良くわからない理由だけど)
基調講演ではこの日記サービスを提供してくれているはてなのCTO伊藤氏もゲストスピーカーとして参加していた。
このGDD7で感じた事は3つ。
1)IT業界もずいぶんと景気回復して来たし、Googleに期待している。何故そう感じたかというと、来場者の雰囲気が様々だった。スーツ姿(IT企業系社員)あり、Tシャツとジーンズというラフスタイル(ソフトハウス)あり、かと思えばカジュアルだけどちょっとおしゃれな感じ(デザイナ系)ありと、小さな会社も大きな会社も、色々な人たちが来ている。そして、その表情が明るいし、講演を聴く姿が結構真剣。
また、Google側も(まぁGoogleだから一番儲け頭であるけれど)参加者全員に昼食サービスというのはずいぶんと力入っている。
2)Macを持っている人の比率が高い。Mac自体が一昔前に比べて普及している事もあるだろうけれど、やはりプラットフォームを選ばないインターネットサービスGoogleならではの特徴じゃないだろうか。ちなみに、一部の講演者もMacを使ってデモしていた。
3)「技術」というキーワードの捉え方が変わった。
実ははてなのCTO伊藤氏の話のなかで左の様なスライドが示された。「はてなのサービスの基盤」と題されたスライドで、サービスの基盤の要素を3つ挙げている。

  • クリエイティビティ
  • コミュニティを信じる心
  • 技術

このスライドを見た時からずっと気になっていたのは、「技術」が「3」番目であるという事だった。「はてな」はちょっと面白い、でも、誰でも出来るという訳ではないサービスを提供しているソフトウェア/サービスの開発と提供を行っている会社だ。しかも、Googleという今や全世界に君臨するインターネット企業の雄が開催するイベントの基調講演の唯一のゲストスピーカーに選ばれるような会社だ。
たぶん、そういう会社が10年前ならサービスの基盤として「技術」を一番最後に持ってくる事は無かったろうと思ったのだ。多分、一番最初か、最初は「顧客」として、2番目辺りに「技術」を持って来て、決して最後に「技術」を持ってくる事はしなかったろうと思うのだ。それは、そういうソフト/サービス開発会社は「技術」が生き残りのための最強の武器であると考えられていたから、「技術」がサービスの基盤になっていますと言っただろうという事だった。
実はこの後のGoogleの技術者によるセッションでも幾度か「技術」という言葉は使われたが、そこにも面白い一つのパターンがある様に感じた。つまり、「技術」はGoogleが提供するから、この会場に来てくれた方々はその技術を使ってGoogleでは考えられないようなユニークなサービスやツールを作ってほしいという言い方をする事が多かった。
Googleが提供する技術はすごい。これは僕が言うまでもなく、IT企業の99%以上はたかが数千人程度の社員しか使っていない企業内システムのサーバを24時間稼働させる事すらうまく出来ないでいる。しかし、GoogleGoogle Mapsに代表されるような全世界の詳細な地理データを管理し、それを365日・24時間、全世界のインターネットユーザが使えるようにしてくれている。今「技術」を体現している企業があるとしたらその一つは間違いなくGoogleだ。
一方でインターネットでサービスを提供する場合、この365日・24時間というのは絶対条件だ。全世界の詳細な地理データを管理しつつ、何らかのサービスを提供しようとしたら、我々はGoogleを再発明しなければならない。車輪の再発明が愚鈍であるのは言うまでもない。Googleはまさにインターネットにおける「車輪」になったのかもしれない。
「3)「技術」というキーワードの捉え方が変わった。」に話を戻すと、そういう状況の中でインターネットでのサービスの開発という世界はGoogleが提供する「技術」を使って、何かユニークなもの(クリエイティビティ)を追求するという場に変わりつつあるのだろうか、だからそこにおいて「技術」というのは最上位の要素では無くなって来ているのだろうか、、、と感じた訳である。

※ちょっと誤解されると困るが、はてなに技術が無いと言っている訳ではない。クリエイティビティを実現するためには、やはり技術が必要であるし、はてなははてなの考えた「思想」を形にする力を持っている、その為に仕事をしているすばらしい会社だと思う。