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親孝行はむずかしい

僕の両親はすでにふたりとも八十を超えたが、健在だ。

父は五十代のときにクモ膜下出血で倒れ、大手術をしたが全快して後遺症もない。その後人工透析もするようになったが、すでに二十年ほど経って、その生活にも慣れて元気にしている。

母はもともと「死にそうにない人(笑)」なので心配はしていないが、最近は年齢のせいか、歩いていてこけてしまったりしたこともあったものの、小さな畑を耕して山程カボチャを作ったりしている。

二人が金婚式を迎えたときに、箱根のホテルをとって、お祝いの席を設けた。それが気に入って、毎年場所を変えて両親と、兄の家族、僕の家族が集って一泊二日の旅行をしてきたが、今年は父が足腰の弱りを理由に不参加だった。

来年はどうしようか。父も一緒に行けるような、二人の住まいの近くで場所を見つけようか。

夏休みにかみさんの故郷である宮崎に帰省する途中で、うちの両親にも顔を見せた。そのときにお袋が別府や由布院の話をしていた。

会社の保養所が由布院にあり、ちょうど11月の宿泊の抽選があったので応募しておいたら、珍しく当選した。5名泊まれる部屋で一泊二日。

早速お袋に電話をした。保養所のことを話したが、結局移動時間のことや、由布院には前にも行ったことがあり、温泉街以外にそれほど見たいものがないということで、食指が動かなかったようだ。

まあ自分も二人の息子をやるようになって54年になるので、そういうことには慣れている。

しかし、親孝行というものはなんと難しいものか。